この記事は、イギリスの旅行中にもし子どもが病気や怪我にかかってしまったら、迷わず受診してほしいという願いを込めて、私の経験をもとに記録しています。海外での病院は怖いかもしれないけど、万が一の時は、まずは親が勇気を出して病院を受診しましょう。
言語の面で困ったら、現地の人に電話などで助けてもらうのが良いです!


穏やかな日曜日の午後15時半頃、3歳のたまちゃんが公園の流れる水のエリアで足を滑らせて後頭部を強打。
状況はそれほど深刻ではありませんでしたが、転んだときの様子を見ていたイギリス人女性が、
I heard banging sound even though I was far away! You should call 999.
(大きな音が遠くからでも聞こえたわよ!救急車呼んだほうがいい!)
と言い、施設のスタッフも出てきて、救急車を呼ぼうと言う流れになってしまいました。
救急車ってどうようぶの?受診ってどうすればいいの?保険は?お金は?
など、色々と頭をよぎりましたが、できないとか言ってられる状況ではなくなってしまったので、まずは子どもの安全を一番に、腹をくくって病院に行く決断をしました。
泣いて痛がるまるちゃん。
以前、まるちゃんは頭に大きなタンコブを作って夜間救急に運ばれたことがあり、その時よりは状況はマシだったので、ちょっと様子みようかなくらいに思っていたのですが…(ちなみにそれは日本でのことです)
私の位置からは、滑った瞬間は見ましたが音は聞こえておらず、転んだ瞬間についていたのはパパだったので正確に状況が判断できずだったので、事の流れに気持ちが追いつきませんでした。
現地の人がそう言うならと、言われるがままに救急車に電話をかけることに。
電話はパパにかけてもらいましたが、もっと詳細に説明するためにイギリス人女性が変わってくれました。こういう緊急事態の電話での英語に弱い”外国人”な私たち。。助けてくれる現地の人がいると、本当に救われます。
実際救急車に電話をすると、到着までの待ち時間が2時間以上だとのことで。エリア的にも自分で病院の緊急外来に行ったほうが早いということで、教えてもらった St. Thomas’ Hospital に行くことに。
日曜日もやっているの?と聞くと、もちろん!とのことなので、現地の人の情報はありがたい。
そして、初めてNHSにお世話になることになったのです。
St. Thomas’ Hospital へ
Hyde Park がまず広すぎて、道路に出るまで20分もかかってしまいましたが、なんとか後頭部を打ってから1時間後に St. Thomas’ Hospital に到着しました。
場所は、何度も言った Big Ben のテムズ川を挟んだ向かい側!こんなところに病院があったなんて知らなかったー!

Emergency Department (A&E) へ
緊急外来は赤いサインで表示されているので、表示に従って進むとすぐにたどり着くことができました。入り口は、テムズ川とは反対側になるので、中庭を抜けて反対側のエントランスまで向かいます。(サインが出ているので迷いません。)


エントランスでちょっとためらいましたが、えいっと入ると、受付の手前にハンドジェルとマスクのブースがあり、そこで準備をして係の人に声をかけられるのを待ちました。
軽く状況を説明すると、こちらに案内されました。(ここで緊急と判断されると対応は異なるものになると思いますが、私たちは頭を打っているとはいえ意識はあって元気そうだったので、普通に受付となりました。)
Children’s Emergency に通されました

エントランスを入って右側に、Children’s Emergency という子ども専用の部屋がありました。そこに通されて、状況を説明し、受付をしました。

簡単な状況の説明が終わると、番号札と、ヒアリング内容が反映されたボードに個人情報を記入するように渡されます。
我が家のように、父親は海外のビザがあるけれどもその家族は「一時滞在」という扱いの場合、住所や連絡先は日本のものも求められます。裏面に書くように指示されました。
中はかなり混雑。どのような症状かわからないけど、我が家だけではなく元気そうな子どももいっぱいいました。
看護師さんのチェックを受けました

程なくして番号で呼ばれ、看護師さんのチェックを受けました。
簡単に状況を説明し、血圧測定と、体温測定と、バイタルチェックをしてから、待合室で待つように言われました。次はドクターに見てもらう番です。
看護師さんは優しく、ててきぱきと仕事をこなしています。
長い待ち時間…


ここからは、1時間2時間経っても一向に呼ばれませんでした。
私たちの前に来た人たちも、かなり長い間待っています。たまちゃんは、この待ち時間に自由研究のまとめをパパと始めたり、まるちゃんは、おもちゃを持ってきていなかったのですがママのバッグの中にあった地下鉄マップと小冊子で遊び始めました。
いい子に待ってくれていて偉い!
怪我をしてから4時間が経過
後頭部を打ってから4時間が過ぎました。でも、全然呼ばれる気配がない…
それに、まるちゃんの様子はいつも通りで、あまり深刻な感じではありません。痛みもなくなってきたもよう。
そうしていると、目の前でマーライオンのように吐いた男の子を目撃してしまいまして。
そう、ここは緊急外来なのだから、どんな症状の子どもがやってくるかわからないのです。私たちよりもはるかに症状の重い子もいるし、怪我だけじゃなく病気の子もいる。待っている間に救急車で到着したであろう子どもも見ました。
当然、緊急度の高い人は先に受診になるだろうし、そうなると順番はどんどん下がっていきます。
そして、何か病気をもらう可能性がゼロではないわけで…
途端に怖くなってきてしまい、帰りたくなってきてしまいました。
帰ってもいいか、勇気を出して聞いてみると…
「頭部を打ってから4時間が経って、大丈夫そうなので帰りたい」と伝えると、「でもドクターの受診をしてもらったほうが安心なのでは?」と言われ、「あなたたちがそれでいいのであれば…」と、止めもしない感じではありました。
順番を尋ねると、まるちゃんの前にあと二人だそう。
そうであれば、やはりここまできたし万が一のことを考えて、あと二人の順番を待ってみることに。
でも、そこから更に1時間経過しても呼ばれませんでした。。
怪我をしてから5時間が経過
もうすぐ夜の9時になります。お腹も空いてきて、携帯の充電も切れてしまってやれることもなくて、もう待てないと思いました。
なぜ私は今日に限ってサンドイッチにしてしまったんだろうか、、、
サンドイッチは腹持ちせず、いつも通りおにぎりにしておけばよかった。
途中でパンを買ったりしましたが、それでもお腹が空いてしまって、もう限界でした。
「やはり帰ります」と伝えました。それでも、「何かあったらいつでも戻ってきてね!」と優しい言葉が。
St. Thomas’ Hospital をあとにする
帰る頃には暗く、雨が降っていました

外に出るともう薄暗い!
こちらの夏は日が長いので、あまり暗いところを歩き慣れていないため、ドキドキしました。Waterloo駅が近かったのでそこのマクドナルドで夕飯を済ませて、帰路につきました。
疲れた。。
肝心の支払いは…
途中で帰るとはいえ、しっかり対応してもらっているので、「お会計はどうしたらいいですか?」と尋ねました。外国人なので、NHSのサービスを無料で受けられるとは思っていません。
すると、「無料です」とのこと。えぇ!?
これに関しては、連絡先も置いてきたことだし、後から何かあるかもしれないので、またレポートします。
今回の経験を振り返って
大事に至らなかったのは本当に幸せなことだと思います。不測の事態はいつ起こるかわからないし、備えても足りないくらい。特に子どものことは、心配し始めたらキリがないほど不安がつきものです。
その中でも、2つ気づいたことがあったので、もしみなさんの参考になればと思いい記しておきます。
海外旅行保険は大事
海外旅行に行く際に、保険に加入していますか?
私はこれまで正直、気にしたことがありませんでした!なぜならば、ほとんどのケースがカードの付帯保険で賄えてしまったり、短期滞在だから「帰ってから受信すればいいや」と、緊急事態は起こらない前提で動いていました。
今回は、長期滞在だったので、こんな私でもさすがに調べました。
すると、以下のことがわかりました。
・30日を越える保険は高くなる
・90日の保障の保険って数が少ない
・すごく高い!(15万円〜でした)
。カード付帯保険って、家族が保証されるケースはあまりない!
とはいえ、子連れ海外で海外旅行保険なしで長期滞在するのは怖いです。
我が家の結論はコレでした。
AMEXのANAカードに付帯している海外旅行保険を使おう!
我が家はANAが大好きなので、旅行に行く時は大体ANA。カードはプレミアムを持っていて、年会費16万円です。
入会の時に、元が取れるかどうかめちゃくちゃ悩みましたが、思い切ってプレミアムにしてよかった!この保険の件だけでもすでにかなりのもとをとっているし、航空券のマイレージに関しては最強です!
家族が保障されるカード付帯の海外旅行保険がない中で、このカードはしっかり保障されていたし、入会してよかったな〜とひしひしと感じています。
我が家のような状況で、海外に長期滞在する予定がある人は、これを機にカードを見直してみるのも手だと思います。
「音声翻訳機」があると緊急事態に強い
今回の件で、緊急事態のために翻訳機があると役に立つなと思いました。
我が家は、人に助けてもらったり、ある程度英会話はできる状態だったので大丈夫でしたが、英語に自信がない場合は本当に大変だと思います。病院に来ても、何もわからない状況になってしまう。
私たちだって、英語圏じゃないところでこんなことになったら、同じ事態になってしまいます。
子どもの緊急事態に対応できるように、こんな便利グッズがあるので備えておくと良いかもしれません。

まとめ
いかなる時でも、助けてくれる人は側にいます。
何か緊急事態に陥ったら、迷わず周りの人に助けを求めましょう。きっと異国の地でも、外国人でも、そばにいる人が助けてくれます。
そして、何よりも大事なのは「緊急事態への準備」。
一番悲しいのは、リスクばかり恐れてせっかくの経験のチャンスを失うこと。そんなのもったいないと思いませんか?
気やけがは起こらないことがベストですが、経験のチャンスをしっかり活かすためにも、不測の事態に備えておくことは海外旅行の準備の中でとっても大事なことです。
私たちのこの緊急外来受診の経験が、誰かの参考になれば幸いです。